教祖が予言を外すと信者はどう反応するか

※マッドサイエンスシリーズは倫理的に問題の有る科学を扱っているため倫理にうるさい方はお帰りください

預言の外れた信者はどう行動する?

何らかの宗教の教祖が何かの予言を行い、そしてそれが外れた時、その宗教の信者はどの様に反応するであろうか?

読者の皆様は予想してみてほしい。

預言者

割と有名な事例として心理学者レオン・フェスティンガーの研究の例がある。

自称霊能力者の主婦であるマリオン・キーチと名乗る人物が「別宇宙の神から1954年12月21日の夜明け前に大洪水が発生して世界を終焉させる。ただし、世界が終わる直前、空から宇宙船が現れ信じるものだけを救ってくれる」と予言を行う。

信者は預言を信じる

こんな如何にもアホくさい終末論でも信じて疑わない人間というものは存在するもので、驚くべき事に「仕事を辞めてまで終末に備える」という信者が何人か存在したのだ。

だが、預言の日である1954年12月21日になっても洪水は起こらなかったし、宇宙船も到来しなかった。
最初こそは落ち込む信者たちであったが、その次の日にはむしろ熱狂を見せ始める

一体どういうことなのだろうか。

預言は外れたのに外れてない

このマリオン・キーチと名乗る預言者の預言は完全に外れた結果に終わる。
だが、信者達はマリオン・キーチを詐欺師と罵るどころかむしろ以前よりも信仰に傾倒してく

何故なら「洪水による世界の終末が訪れなかったのは、我々の熱い信仰心によって神が第二のチャンスを与えてくださったのであり、我々こそが世界を救ったのだ」と考えるようになったからだ。

つまり、彼らは「そもそも何をもってして失敗とするかという失敗の定義を再構築した」のである。
失敗の解釈を変えたと言ってもいい。

後に引けない状況

何故彼らはこの様な心理状態に陥ったのであろうか。
それは、彼らが「もう既に後に引けない状況に陥っていたから」である。

この信者達は事象霊能者マリオン・キーチと一緒に暮らすために仕事を辞め、家族や友人の反対を押し切り、周囲の人達から笑われて馬鹿にされてでもマリオン・キーチを信じたのだ。

それを今更マリオン・キーチは偽預言者だったと認めてしまえばそれはすなわち「詐欺師を教祖と崇め、周囲の反対を押し切ってまで仕事や生活を捨てた大馬鹿者です」と言っているのと同じ事だ。

だから、自分自身の精神とプライドを守るためには「自分の判断は正しかったのだと思い込む」他に無い

認知的不協和

一般的にこの様な心理的状態を認知的不協和と呼ぶ。

人間は、自分自身が信じる信念を打ち崩す現実が目の前に現れた時、自分の信念を守るために「現実の解釈を変更する」という行動を取るのだ。

一般的に政治厨と呼ばれるような人達や、詐欺に騙されても詐欺師を信じて疑わない人間等もこれと同じ心理状態である。

どうすれば認知的不協和を防げるか

では、一体どうすれば認知的不協和を防げるだろうか。

実はそもそも認知的不協和を防ぐ手立てはほとんど無い。
これも心理学者のエリオットとその同僚であるジャドソンが実験を行っているのだが、「認知的不協和」という概念を知って正しく理解していたとしても、自分自身がその認知的不協和に陥っている状態に気がつくのはとても困難なのだ。

だから、認知的不協和は実質上ほとんど対策の施しようがないという非常に厄介な性質を持っている。
つまり、一歩間違えれば誰でもこの状態に陥る上に、しかも一旦認知的不協和に陥れば回復はほとんど不可能だということ。

だからこそ詐欺の王道的手法

この認知的不協和、人を騙し、洗脳し、操作する上ではこの上なく有効な手法と言えよう。

みんなも認知的不協和を最大限活用して教祖を目指そう!
酒池肉林は意外と身近にある。

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